誰? Who am I? 渡辺 謙

誰? Who am I? 渡辺 謙

誰? Who am I? 渡辺 謙

¥1,429

『ラスト サムライ』『バットマン ビギンズ』『SAYURI』等、世界を股にかけて活躍している映画俳優、渡辺謙。彼は今、何を思い、何を表現し、これから何処へ向かおうとしているのか? ――― 本書は、『明日の記憶』という小説に偶然出会ったことで、何かに突き動かされるように映画を作ろうとする一人の<表現者>としての軌跡を、渡辺謙自らが克明に綴った、初の著作である。たった一人の想いを出発点に、やがて多くの賛同者が集まり、一つの作品を形にしていくことの困難、情熱、悲しみ、喜び。そして、役者とは何か? 物をつくるとはどういうことか? 映画の撮影の日々を通じてその本質を突き詰めていく。読んだ人すべてに、仕事をすること、そして生きることへの熱いエネルギーが湧いてくる、人間味溢れる読み物となっている。

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〈Content〉

内容紹介

たった一人の想いを出発点に、やがて多くの賛同者が集まり、一つの作品を形にしていくことの困難、情熱、悲しみ、喜び。そして、役者とは何か? 物をつくるとはどういうことか? 映画の撮影の日々を通じてその本質を突き詰めていくという、いわゆるタレント本の枠を遥かに超えた、手ごたえのある読み物となった。

 また、今まで決して多くを語ってはこなかった病気のこと(18年前に急性骨髄性白血病を発病)、家族のことなど、私的な部分についても隠すことなく、当時の状況や、想いを振り返っている。そして渡辺自身が、本書の原稿を書いているうちに、なぜ自分がこんなにも、『明日の記憶』を映画にしたかったのか、そのバックグラウンドさえも見えてくるという構成である。

 「渡辺謙」という俳優に興味があるなしに関係なく、読んだ人すべてに、仕事をすること、そして生きることへの熱いエネルギーが湧いてくるような、あまりにも人間的なドキュメンタリーに仕上がった。


 「アカデミー賞にノミネートされた事は、人生を変えましたか?」とよく訊かれる。もちろん僕の俳優人生の中でも、それは大きな出来事ではあった。僕という俳優を、たくさんの人たちに知ってもらえた。だが、その勲章は新しいキャラクターと向かい合った時に何の効力も発揮してくれない。40数年間生きてきた自分と、一人の役柄とが正面から向き合うことでしか、何かが生まれないのだ。(中略)

 ただ、こんなに長い間仕事をしていても、その事を自分自身でも見失うことが多々ある。さらに言えば、僕たちはつくづく非生産的な仕事をしていると思う事もある。何か災害が起きる。決して起こしてはならないが、戦争が起きる。そうなってしまうと真っ先に世の中から消えてしまう職業の一つに役者なんて位置しているのだ。小さな明日への夢を作っているだけなのだ。夢を抱けない、余裕の無い社会には僕たちは存在出来ない。そんな微妙なところで生かされているのだ。(中略)

 考えに考え抜いて、一つずつ答えを出していく。そのためにこそ、日常をどうやって生きていくかという事は俳優にとって、とても大切な事だと思っている。日々の日常を普通に生きている人たちの思い。今を生きている人たちの、喜びや苦しみを受け止めること……『明日の記憶』という映画に関わって、改めてその事の意味を知った。そして彼女との出会いは、ジェットコースターのような自分の人生にとって、これからの毎日をどうやって生きていけば良いのかを示唆してくれる光だった。

(2005年12月3日の記述より)

メッセージ

僕がはじめて<書く>という事を意識したのは、まだ駆け出しの、いちばん最初に舞台をやらせていただいた頃に、大好きな先輩から「お前、稽古日誌つけたほうがいいぞ。俳優としてというよりも、自分のために」と言われ、何をどう書けばいいのかわからないなりに、大学ノートに書き始めたのがきっかけです。

 その後何年かして、海外に行くドキュメンタリーの仕事をした事がありました。
 旅って、いろいろと感じるものがありますよね。いろいろな人や物と出会う事ができるし、様々な状況にも出会う。でも、海外にいるときっていうのは、その状況を受け止めるのが精一杯でそれを言葉にする事が難しいんですよね。そのドキュメンタリーのロケが終わったときにも、まだ伝えきれていないという気持ちがあったんです。それで、それこそレポートのような形で、その時に感じた気持ちを言葉にして、ディレクターに渡したんです。そうしたら、ディレクターが、編集をするときに非常に役立ったと言ってくださった。こういう風に、自分で言葉を綴って気持ちを伝える事は大切なんだな、と気づいたんです。
 そして、書く事によって僕の旅がようやく終わる気もしました。

 この『誰? ―Who am I?』も、『明日の記憶』という映画をやろうと思ったときに、何気なく書きはじめた日記だったんです。この映画自体が、僕自身を見つめ直さざるを得ない、そんな作品であり、役であり、お話でした。そして、このメモ書きのように書いていた日記をもう一度読み直して整理していたときに、
  「自分は一体、何者なのか?」
  「自分は、何を考えて、何を思って、この『明日の記憶』という作品と向かい合おうと思ったのか。逆に、なぜこの作品と出会わされてしまったのか?」
 という事を考えさせられたのです。考えざるを得なかったんです。
 それで今回も、自分で書いてまとめる事によって、僕にとってこの素晴らしい「映画」での旅がきちんと、終われたんですね。

 俳優として、プロデューサーとして、映画を皆さんにお届けする事ができました。
 そして、一人の人間・渡辺謙として、この本をお届けする事ができました。

 また、この本を読んでいただく事によって、ある意味で、『明日の記憶』という映画を、皆さんの中でもう一回作っていただけるんじゃないかとも思っています。

出版記念上映会(5月25日/大阪)舞台挨拶より

渡辺謙直筆メッセージ
ほぼ日刊イトイ新聞にて、糸井重里さんと、渡辺謙さんが
メールの交換をされています。

そのようなご縁から、この本にも糸井重里さんからメッセージをいただきました。

映画『明日の記憶』について、渡辺謙さんとメールをやりとりしました。そのなかで、ぼくは、謙さんにこんなことを言ってました。

渡辺さんのなかに、ほんとうにあの映画の主人公がずっといるのでしょうね。他人の人生を演じる俳優さんが、映画の主人公といつまでも混じりあったりしていてはいけないのでしょうが、こころのどこかに「いつまでも住んでいる」ということは、ありうることだし、あってもいいことだという気がします。

この本のゲラを読んで、ますますそう思うようになりました。渡辺謙さんという俳優と渡辺謙さんという人間は、ほんとうによく語りあっているんだなぁと思いました。なかなかできることじゃあない…。

糸井重里


読者の声

読者の声 はがき

たくさんの読者ハガキを、本当にありがとうございます。

 そう、本の間にぺらっと挟まっている<愛読者カード>というものです。
 本を読んだ感想を、このハガキの小さな面積の中にどう書くかを考え、いざ、文字にしてみて、そしてそれをポストまで持っていくというのは、できそうで、なかなかできない作業だと思います。後から書こうと思いつつ、ついつい忘れてしまったり…。
 それにもかかわらず、『誰? ―Who am I?』を買っていただいた方からの読者ハガキが、毎日毎日、たくさん編集部に届いているのです。
 ほとんどの方が、小さな文字でびっしりと! この本と、そして『明日の記憶』への想いを言葉にしてくれました。中には、書ききれなくてお手紙まで送ってくださる方もいます。
 もちろん、お送りいただいたものはすべて、渡辺謙さんも読んでいます。

 映画『明日の記憶』をご覧になって、この本を手にとってくださった方。
 この本を読んで、映画を観ようと思った方。また、もう一度観ようと思われた方……さまざまですが、『誰? ―Who am I?』が、映画『明日の記憶』の素晴らしい伴走者になっているようです。文字と、映像と。二つの感動が皆様の心の中で重なり合ってくれたのなら、こんなに嬉しい事はありません。
 いくつかの声を、ご紹介させていただきます。

編集部

映画の中の大滝秀治さんの、あきらめない、強い生命力のある台詞、「生きてりゃいいんだ、生きてりゃ」に、すべてを感じました。渡辺謙さんと、この映画の共通点は、『あきらめない』なのだと思いました。

(広島県・32歳男性)

映画を見終わって、夫婦二人でしばらくじっと席に座っていました。二人共、しばらく無言でした。この本を読ませていただき、私共の感じた以上に、渡辺謙さんをはじめ作品に関わられた人達の思い入れを強く感じました。今、私は病院の一室でこれを書いています。息子への腎生体移植のドナーとしての入院です。「生きてりゃいいんだ…生きてりゃ」。

(大阪府・60歳男性)

謙さんは強い! 人間、誰でも何かを抱えているんですね。それが生きているって事なんですよね!!

(宮城県・52歳女性)

読後すぐに、謙さんに対して、“ありがとう”という言葉が浮かびました。
人の温かさや、目にするものたくさんのものに生かされると思う時があります。
昨年、ヘルパー2級取得後、特別養護施設に就職しましたが、急性骨髄性白血病と判明し、今年の春に一応の治療を終えました。むちゃくちゃに泳いで、やっと陸に上がって、暗い海を見ているような……。でも、自分の人生を、私も愛しています。映画も観たいと思います。

(埼玉県・30歳女性)

まず一度映画を観て、この本を読み、又映画を観て涙が止まりませんでした。今、生かされているという事……頑張りたいです、今、出来る事を。渡辺謙がもっと好きになりました。

(福岡県・50歳女性)

一つの作品が出来るまでの制作日記というより、渡辺謙という人の生きる姿勢そのものがここにはあり、そこに私は強く心を動かされました。これまでの、今の、そしてこれからの私自身の生き方を今一度じっくり考えるいい機会を与えていただきました。この本を読んだら、どうしてももう一度劇場に足を運びたくなっています。

(愛媛県・54歳女性)

渡辺謙さんという方の印象が変わり、これからの謙さんの俳優人生を、蔭ながら応援させていただきたいと思いました。

(埼玉県・24歳女性)

この本の第二幕を読み終えた段階で映画を観に行きました。謙さんの、作品への思い入れを読むと、返って私はこの苦しさ(重さ)に耐え切れるのか……と不安にもなりましたが、でも絶対に観ておかなくてはいけない気がして、勇気を出して行きました。でも結果的には、この本を読んでいた事で、一つ一つの場面の意味がより深くつかめ、重すぎる事もなく、見終わったあとで心に残ったのは、温かさと感謝でした。これからも謙さんを見つめていきます。

(滋賀県・41歳女性)