仏になったら仏を殴れ
コロナ時代をどう生き、どう死ぬか……。
医者になって、2500人以上の「死」を見てきましたが、
執着と幻想をすべて捨てきって旅立った人など、見たことがありません。
捨てきれなくて、捨てられなくて、だから誰もが「死」が怖い。
本書は、死が怖いすべての人に向けた、死ぬことばかりの問答集です。
コロナ禍の死や、安楽死や尊厳死の問題についても、
たくさんお答えしています。
三島由紀夫の『金閣寺』。
その一説に、「仏に逢うては仏を殺し……」とあります。
「過去に学んできたことや出会ってきたもの、
信じてきたものに惑わされてはいけない。
執着を捨て去った先に本当の未来があるのだ」
というような意味です。
『金閣寺』を読んでから四十年あまり。
僕はもう還暦すぎてしまいましたが、
残念ながら、この言葉のようには生きられずに、
あいかわらず執着や幻想に苦しんでいます。
還暦を過ぎた僕の目の前に、
もしも三島由紀夫が亡霊になって現れたら、
こう話しかけると思います。
――僭越ですが、仏に逢うたら仏を殺せではなくて、
仏になったら仏を殴れではないですか?
死についてあまり考えないまま死ねば、
あの世で後悔して、そんな自分のことを殴りたくなるはずですよ。
そう、仏になったら殴るべくは、仏になった自分自身です。
長尾和宏
◎寝たきりの母の胃ろうをはずしたい
◎「死にたい」と言い続けるパートナーをどうにかしたい
◎認知症。医者に関わらずに平穏死できる?
◎精神科医から「しにたいなら、死ねば」と言われた
◎臨死体験を経験しました
◎免疫力を謳う医師はインチキですか?
◎食べても痩せる。もうすぐ死にますか?
◎妻がコロナで死んだことを、まだ誰にも言っていない
◎「人生会議」は不要です
◎今すぐ「安楽死法」を通して!
◎宗教に入ったら、死は怖くなくなりますか?
……あらゆる死への問いに、けったいにお答えします!