新刊
妻を罵るな 愛妻を心の病で失った医療ジャーナリストの独白

自殺で家族を失った人のことを「自死遺族」と呼ぶ。
残された者は深い悲しみだけでなく、
罪責感や無力感に長年苦しみ、
うつ状態やPTSDで社会的に孤立してしまうことも多い。
私たちが放った何気ない一言に、
胸を抉られるように傷つく場合もある。
本書の著者である鳥集徹氏もその一人だ。
心の病と闘い続けた妻の死によって突然シングルファザーとなり、
仕事だけでなく二人の息子の世話に追われる日々となった。
友人にも妻の死を明かせないほど心を閉ざしていた彼だったが、
ある日、光をもたらしてくれる出会いがあり、
封印していた心を解いた。
彼女は生きる支えとなってくれる、はずだった。
ところが、妻をこう罵ったのだ。
「子どもを残して死ぬなんて。無責任じゃない?」
「育てる自信がないならどうして子どもを作ったの?」
ほとんどの自殺者が死にたくて死んだわけではない。
心身の病や人間関係、理不尽な世の中に苦しめられながらも、
生きようともがいていたはずだ。少なくとも妻はそうだった。
突然崩壊した幸せな家庭。しかし日々は無情に続いていく。
妻の不在に苦しみつつ、前を向き始めた著者を再び暗闇に落とした、
大切な人からの言葉の刃……
自死遺族、そして、
周囲に自死遺族がいるすべての人に読んでほしい一冊です。
心の痛みが、少しでも和らぎますように。




























