「小児性愛」という病――それは、愛ではない

「小児性愛」という病――それは、愛ではない

子どもが性暴力の被害者になる悲劇     150人を超える小児性犯罪者に関わってきた 著者が語る、加害者の心理とは?

著者 斉藤 章佳
ジャンル 読み物
出版年月日 2019/11/20
ISBN 9784893089267
判型・ページ数 4-6・288ページ
定価 本体1,700円+税
在庫 在庫あり

この本に関するお問い合わせ・感想

「そりゃセックスもしましたよ。恋人同士ですもん。
 それを周りの人たちが、ぶち壊したんです。
 私がロリコンで、Yちゃんは被害者だといって引き離したんです。
 私はそんな人達によって犯罪者にさせられました。
 おかしいのはどっちだっていいたいです…」

これは、12歳の少女に性加害をした49歳の男性のケースです。
女子児童の側には、交際しているという認識はありません。
怒ると声を荒げる男が怖くて、言われるがままになっていたのだとわかっています。
彼がしていたのは、明らかに加害行為です。
子どもに肉体的・精神的に後々まで残る多大なダメージを与えました。
しかし、彼が見ていたのは、
「子どもから求めていた」「子どもはよろこんでいた」という光景。
事実とは、正反対です。

クリニックで子どもの性加害経験者からヒアリングしていると、

これは性加害をする者なら誰もが持っている、特有の思考の歪みだと実感します。
彼らの問題行動の背景には、精神疾患があります。
日本語では小児性愛障害、英語ではPedophilic Disorder, Pedophiliaといわれ、
この「ペドフィリア」という語のほうが馴染みがある人もいるでしょう。
私は、150名を超える子どもへの性加害者らと関わってきて、
彼らも私達と変わらない、同じ“人間”だと考えるに至りました。
決して性欲が抑えられないモンスターではありません。

子どもへの性被害、つまり小児性愛障害は、社会のなかで学習された行動です。

大げさかもしれませんが、いまの日本社会が
「ペドフィリア」を生み出し続けているといっても過言ではありません。

本書より抜粋


もくじ

はじめに

第1章  純愛幻想と飼育欲――その身勝手な論理

第2章  問題行動――病と気づくまで

第3章  逆境体験――依存症から抜け出すために

第4章  児童ポルノ――加害の引き金になるもの

第5章  犯行現場――加害者はすぐそばに

第6章  再犯防止――期待される有効な治療とは?

第7章  回復責任――“やめ続ける”ために

第8章  支配感情――敬われたい男たち

対談   “加害しない自分”をどのように保ち続けるか?
     子ども性加害経験者に話を訊く


はじめに

第1章  純愛幻想と飼育欲――その身勝手な論理
  本人にとって都合のいい“認知の歪み”
  身勝手な認知の歪みのバリエーション
  強化される“認知の歪み”

第2章  問題行動――病と気づくまで
  性加害者らのバックグラウンド
  なかなかクリニックにつながらない
  結局、被害をこうむるのは子ども
  13歳以下だけが子どもなのか
  空想・衝動が行動に移行する
  性暴力は力関係のなかで起きる
  やめたくてもやめられない「依存症」
  依存症の7つの特徴
  海を渡る性加害者

第3章  逆境体験――依存症から抜け出すために
  小児性愛は先天的か後天的か
  逆境体験が性加害者を作る?
  家庭内の性虐待
  性加害へ駆り立てる“偶然”
  無視できない社会からの影響

第4章  児童ポルノ――加害の引き金になるもの
  スマホが媒介する児童ポルノ
  児童ポルノ所持の是非
  児童ポルノは確実にトリガーになりうる

第5章  犯行現場――加害者はすぐそばに
  子供に性加害しやすい職業とは
  教育現場で隠ぺいされる性加害
  いつ、どこで性加害は起きる?
  ターゲットになりやすい子どもとは?
  氷山の一角にすぎない実態
  巧妙なマジックに騙される子ども

第6章  再犯防止――期待される有効な治療とは?
  再犯率からわかるもの
  性犯罪再犯防止のための方策
  ストレスで加速する加害
  再犯リスクを下げる方策
  “再犯しない自分”への道

第7章  回復責任――“やめ続ける”ために
  最初の再犯を防ぐ!
  リスクマネジメントを反復せよ!
  語りにくいからこそ、語れる場を
  家族も苦しんでいる
  “やめ続ける”むずかしさ

第8章  支配感情――敬われたい男たち
  “恐れ”と暴力
  受け入れてほしいという甘え
  ジェンダーギャップ・ニッポン!
  “女尊男卑”だとする認知の歪み
  「未熟=かわいい」という価値観
  小さい者、弱い者に性を受け止めさせる矛盾
  社会が変わらない限り、子どもは守れない
  
対談   “加害しない自分”をどのように保ち続けるか?
     子ども性加害経験者に話を訊く

  我が国における過去20年の主なペドフィリア関連の事件

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