Vol. 16 おせち料理で占う2015年の深海魚ブーム




みなさん、こんにちは。
尼岡邦夫です。

早いもので、2014年も残りわずかとなりましたね。今年は春から秋にかけ、リュウグウノツカイ、サケガシラ、テンガイハタなどが日本海で続々と揚がり、テレビでは連日、深海特集が組まれるなど、深海ブームに沸いた1年でした。近頃では深海魚を捕まえたり、深海魚を食べるといった趣旨の番組も作られるようになり、解説が求められる機会も増えて驚いています。魚と聞いたら、まず食べてみたくなるのは、日本人の性なのでしょうか。



リュウグウノツカイを釣りたい

先日、あるテレビ局から、こんな依頼が来ました。「リュウグウノツカイを釣りたいのですが、どうしたらいいですか ? 」。リュウグウノツカイは、水深200~1000メートルの中深層に生息し、体長は2メートル以上にもなります。釣ろうと思って釣れるものではないと説明したのですが、なんとしても挑戦したいと譲りません。その熱意に負け、沖縄のハマダイ釣りの漁師がきわめてまれに釣り上げることがあると聞いていたので、尋ねてみたらと助言しました。
すると、また連絡がありました。今度は、「リュウグウノツカイは何を食べていますか ? 」という質問です。つまり、餌を何にすればいいのかということでした。リュウグウノツカイの仲間であるサケガシラの胃袋を開いたときに、小型のイカ類、小さい発光魚のキュウリエソ、ハダカイワシ類などが出てきたことを教えてあげました。それらで釣れるとは思いませんでしたが、結果はやはり失敗でした。
しかし、ヘラツノザメ、ムラサキギンザメ、タチモドキ、トウジン、チゴダラ、ダイナンウミヘビ、アコウダイなど、他のいろいろな深海魚が釣れて盛り上がっていたので、番組としては成功なのかもしれませんね。

リュウグウノツカイ


ムラサキギンザメ


トウジン



おせちになった深海魚

そして、連日の問い合わせもひと段落して、なんとなしにネットを見ていると、とんでもない広告が目に飛び込んできました。なんと、「深海魚おせち」と書かれているではありませんか。深海「魚」ではありませんが、深海生物として皆さんが愛するオオグソクムシの姿焼きが2尾、お重の中央に鎮座しています。
その他にソコクロダラの焼き物、キンメダイの煮付け、深海鮫 ( 種名が出ていないので残念 ) のかまぼこなどが出ていました。値段は21、600円也。はたしてどれだけ売れたのでしょうか。この話題性と売り上げによって、2015年も深海魚ブームが続くのかを占うことができそうです。

ソコクロダラ


※出典
『深海魚ってどんな魚』

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