Vol. 20 台湾の深海魚




みなさん、こんにちは。
尼岡邦夫です。

3月20日から1か月の予定で、深海魚の標本調査と標本採集に台湾の南端近くの墾丁国立海洋公園の中にある海洋博物館に来ています。台北から新幹線に乗ると1時間30分で高雄、そこからさらに車で1時間30分ほどかかります。この公園には大きな水族館があり、たくさんの観光客がバスで来ています。気候は熱帯圏で、果物が豊富。蓮霧(レンブ)、釈迦頭(シャカトウ/バンレイシの別名)など、日本では見たことのないようなフルーツも初めて食べてみました。それぞれ個性のある味でした。

第20回目は、台湾から深海魚便りをお届けします。


活気にあふれた魚港

台湾では、太平洋側と台湾海峡側のあちこちの漁港で、底引網で漁獲された深海魚をたくさん見ることができます。次々と水揚げされるトロ箱に入った深海魚の中から面白いものを探し出し、持参したビニール袋に入れます( 図1、2 ) 。咎められることはありません。時々大声が聞こえてきますが、私のことではなさそうです。私が学生時代には日本にもこのような漁港がたくさんあって、よく通ったものです。私を深海魚のとりこにしたのはこのような漁港でした。ここでは漁獲物の多くはミンチにされて、養殖魚の餌になっています。
廟のすぐ横にあるカツリャオ漁港


図1 採集した深海魚 ; トカゲハダカ


図2 採集した深海魚 ; シギウナギ




売られていた深海魚

まとまって獲れる深海魚は隣接する市場の商店で売られていました。私の本の中ではおなじみの、体がコンニャクのように柔らかい大口のザラガレイ ( 図3 ) 、体は桃色で腹側面に発光器がたくさん並んでいるきれいなサンゴイワシ ( 図4 ) 、日本では大変珍しい真っ黒い頭のコンニャクイワシ ( 図5 ) など、典型的な深海魚がザルの上にきれい並べられているのには驚きました。日本では、深海魚は漁師や特別に限られた地方でしか食べられませんし、そもそもこのようにたくさん獲れることはありません。台湾ではたくさん獲れるので、食卓で日常的に深海魚料理を食べているようです。また、ここでは日本のように刺身、煮魚、焼き魚などにしないので、油で揚げるか、汁物の具にすると聞きました。日本人は魚本来の味をこよなく愛するので、魚の味を生かした調理法で食べますが、台湾の魚料理はいろいろな香辛料やソースなどの味付けを楽しむもののようです。
図3 売られていた深海魚 ; ザラガレイ


図4 売られていた深海魚 ; サンゴイワシ


図5 売られていた深海魚 ; コンニャクイワシ



黒潮でつながる

面白い発見は、学生時代に高知県から新種として報告したヒラメ科の新種ヘラガンゾウビラメ ( 図6 ) が高雄近くの東港魚市場で獲れたことです。同じ黒潮圏なので分布は繋がっているのでしょう。他にも新種らしい魚が見つかっていますので、今はお見せできませんが、結果が出ましたらご報告します。
図6 ヘラガンゾウビラメ

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