Vol. 28 台湾便り2016 その3





みなさん、こんにちは。
尼岡邦夫です。
前回、前々回 ( Vol. 26 / Vol. 27 ) に引き続き、台湾よりお届けします。

今回東港 ( トンカン ) 漁港からお届けするのは、アンコウ類のアカグツ科とフサアンコウ科の魚です。アンコウの仲間といっても、食べるアンコウ科や沿岸にいるカエルアンコウ科、深海魚のチョウチンアンコウ科までいろいろな科があります。



アカグツ

なんともおもしろい名前だと思いませんか。その響きから「赤い靴」という童謡を思い出す人も多いと思います。実は私も、「グツ」を「靴」の意味だと思っていたことがありましたが、違っていたようです。
「グツ」とはどこかの地方の方言で、「不味いもの」という意味があります。真っ赤な平たい円盤状の体はトゲトゲで覆われて、見るからに美味しいというイメージはありません。海底にへばりついて隠れてばかりいたのでこのような変な姿に進化したのでしょう。
また、ヒキガエルの古い呼び方である「クツ」に由来するとの説もあります。確かに、アカグツの歩く様子と、背中のイボのような突起はヒキガエルを連想させますね。 
アカグツ


アカグツの腹面




ワヌケフウリュウウオ

この魚もアカグツ科です。「フウリュウウオ」は漢字にすると「風流魚」。しかしなぜこの名前が付けられたのかはよくわかりません。つんと前方に飛び出した可愛い鼻、三角形の頭、頭の後ろから出た足のような胸鰭、どれをとっても魚のイメージからほど遠い浮世離れした格好がそう呼ばせているのでしょうか。泳ぐことが得意でないので、胸鰭を使って海底を歩いていることの方が多いです。
「ワヌケ」の由来は、頭の表面にコンパスで描いたような輪があることから。どうしてそんな輪をつけているの? どのようにして描いたの? と尋ねたくなります。この仲間の魚はおよそ20種知られていますが、いずれもユニークな格好をしているので見とれてしまいます。
ワヌケフウリュウウオ

ワヌケフウリュウウオの輪を描いたような模様




フサアンコウ

台湾の大学院生がこの類を研究していて、貴重な写真を撮らせてもらいました。
フサアンコウは世界から30種ほど知られている類で、体色、ルアーの形や長さなどで種分けしています。日本からは3種が知られていますが、ここではまだまだ新しい種が見つかると言います。実は、この写真の種にはまだ名前がつけられていません。つまり、新種の可能性があるとのこと。上の2種と同じく泳ぎは嫌いなようで、ほとんど海底を歩いています。体色とぶよぶよとした体のイメージからは不味そうですが、皮をはいだ干物は結構うまいです。 
フサアンコウ

フサアンコウの腹面

シェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事