Vol. 21 台湾の深海魚②




みなさん、こんにちは。

尼岡邦夫です。

前回、台湾よりお届けした深海魚便り(「Vol. 20 台湾の深海魚」参照)は楽しんでいただけましたでしょうか。約1ヵ月の日程を終え、やっと帰国いたしました。
第21回目は、「台湾の深海魚」第2弾をお届けいたします。



台湾のアンコウとアカグツ

残りわずかとなり、魚港で見る魚も変り映えしなくなってきたある日、とても大きなフサアンコウとアカグツが目にとまりました。両種とも体が真っ赤なのでよく目立ちました。私の深海魚の本でおなじみの魚たちですが、体長30㎝近くもあるこんなに大きなものは大変珍しいです。どちらもアンコウ目の魚ですが、科が違っています。オキアカグツ ( 図1 ) は平べったく、硬くて円盤状の体で強い棘を持っていますが、ホンフサアンコウ ( 図2 ) は丸みを帯びていて、皮膚は細かな棘でおおわれ、ぶよぶよしています。 図1 オキアカグツ


図2 ホンフサアンコウ

図2 ホンフサアンコウ ( 正面 )




海洋生物博物館の中にある水族館

私が滞在した国立海洋生物博物館 ( 図3 ) には、日本の最大級の水族館と同じくらいの大きな水族館があります ( 図4 ) 。もちろん観光客が相手で大盛況ですが、中を見て大変驚きました。日本でおなじみの大水槽がある建物とは別に、それに匹敵するぐらい大きな建物があります。それは教育用のもので、中にはシーラカンスの専門の展示室 ( 図5 ) 、魚類の進化を見せる部屋、台湾の周辺海域を説明する展示室、深海魚の展示室などがあり、いずれも最新のコンピュータープログラムを使って動かして見せています。特に深海魚コーナでは、大水槽の中にトンネルを通したようなイメージをしたスクリーンにたくさんの深海魚が立体的な映像であたかも生きているように泳ぎ回っています。ハダカイワシやホウネンエソなどは発光器の光を点滅させて群れています。チョウチンアンコウのルアーは光り、時々発光液を噴出させます。これはバーチャルの世界なのですが、魚たちはあまりにもリアルなので、まるで深海に身を置いているような錯覚をおぼえます。まさに私があこがれていた深海魚水族館なのです ( 図6 ) 。日本ではこのような展示は水族館の付属物として展示していますが、ここでは大水槽と対等に扱われているのには驚きました。図3 国立海洋生物博物館 図3 国立海洋生物博物館

図4 水族館前

図5 シーラカンス展示室

図6 深海魚が泳ぎ回る




日本の水族館にも見習ってほしい

私は世界中の水族館を見てきていますが、台湾のこの水族館は世界一だと思いました。水族館は企業が運営しているのだそうですが、国立海洋生物博物館《研究所》が全面的にバックアップしているので教育的に立派な水族館ができたのでしょう。 今までは日本が世界の水族館をリードしていると思っていたのですが。これから水族館を作るときに見学に行ってくだされば大変参考になるでしょう。

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